おかひじき

おかひじき

 この季節、置賜地方の居酒屋に行くと、よく「おかひじき」を勧められます。名前だけ聞くと海藻のヒジキを連想しますが、実際は全く別の植物で、鮮やかな緑色をした細長い野菜です。見た目はどこか海藻にも似ていますが、シャキシャキとした独特の歯触りがあり、一度食べるとなかなか癖になります。

 私は福島県出身ですが、昔は地元で見かけることがほとんどなく、山形に来て初めて本格的に食べました。最初は「変わった野菜だな」という程度の印象でしたが、食べてみると実においしい。さっぱりしているのに風味があり、しかもヘルシーです。最近は健康志向の人も増えていますから、こういう野菜は時代に合っているのかもしれません。

 おかひじきは居酒屋だけでなく、道の駅や地元スーパーでもよく見かけます。置賜地方ではかなり身近な食材のようで、春から初夏になると店頭に並び始めます。私も時々買って帰りますが、家で食卓に出すと家族も「これは何だ?」と興味津々です。特に初めて見る人は、その見た目に驚きます。

 調理法は実に簡単です。まず軽く水洗いし、沸騰したお湯で一分ほどさっと茹でます。長く茹ですぎると食感が失われるので、この「短時間」が重要です。その後、冷水に通してしっかり水を切る。これだけでも鮮やかな緑が美しく、食欲をそそります。

 食べ方はいろいろありますが、私が好きなのは、やはりわさび醤油です。ただ、このわさび醤油は意外と奥が深い。醤油が強すぎるとおかひじき本来の爽やかな風味が消えてしまいますし、わさびが多すぎても辛味だけが勝ってしまう。ちょうどよい加減にすると、おかひじきのシャキシャキ感と独特の青い香りが引き立ち、実においしくなります。

 また、かつお節を加えたり、マヨネーズを少し合わせたりしてもなかなか合います。最近ではサラダ感覚で食べる人も多いようです。山形の人たちは昔からこうした地元食材を上手に食べてきたのだなあと感心します。

 調べてみると、おかひじきは元々、南陽市周辺で盛んに栽培されてきた郷土野菜とのことです。乾燥地帯でも育ちやすく、昔から地域の食文化を支えてきたのでしょう。最近は流通も発達したためか、福島県でも時々見かけるようになりました。しかし、やはり本場の置賜地方で食べると、どこか違う気がします。土地の空気や風土も、食べ物のおいしさの一部なのかもしれません。

 山形県には、玉こんにゃく、だし、芋煮、冷たい肉そばなど、おいしいものが本当にたくさんありますが、おかひじきもまた、その土地らしさを感じさせる魅力的な食べ物です。こういう郷土の味に出会うたびに、「食」というものは単なる栄養ではなく、その土地の文化そのものなのだと感じます。

 全く、山形県というところは、おいしいものの宝庫ですね。行くたびに新しい発見があり、本当に楽しい土地です。