クレームの少ない山形県
クレームの少ない山形県
私が山形県でクリーニングの仕事を始めて驚いたのは、5年近くやって、一度も「クレーマー」といえる存在が登場していないことです。
クレーマーとは、理不尽な苦情をつけて金品を要求したり、謝罪を要求したりする人のことです。20世紀の終わりくらいから問題になり、1999年には有名な「東芝クレーマー事件」も発生しています。「お客様は神様」という日本独特の考え方につけ込んで、無茶な要求をするクレーマーは社会問題ともなっています。
しかし、そういう人が5年やってもまだ現れないのですから、山形県民はいい人ばっかりのようで嬉しいです。
一度、古くなったスキーウェアが寿命を迎え、痛んでしまったことがありました。これを経時劣化といいますが、これはお客様も初めての経験だったようで、一度の説明では納得してくれませんでした。このとき、お客様は山形県消費生活センターに行かれたのですが、消費生活センターの担当の方は非情に的確に答えていただき、大変助かりました。担当の方はすごく勉強されている方でした。山形県は行政も素晴らしいですね。お客様からも連絡をいただき、感激しました。
クレームといえば、私はこの商売に足を踏み入れてから、これはクレームの多い商売だなと感じていました。クリーニングのクレームにはおおよそ原因が3つあり、
○クリーニング業者に原因のあるもの―――洗濯方法の間違い、紛失など
○衣料品製造メーカーに原因のあるもの―――素材の間違い、洗濯表示の間違いなど。海外で製造するようになってから多くなった。
○顧客に原因のあるもの―――漂白剤をこぼした、管理が悪く虫食いを発生させたなど
などありますが、どんな原因があっても、一度はクリーニング店に話が来ますので、私たちはクレームに多く遭遇することになります。
山形の方々の特徴として、ひとつの衣料品を長く着る傾向があるように思います。20年間もスキーウェアを着用し、毎年クリーニングする方もいます。あまり昔のものですと、経時劣化といって寿命が来てしまう場合もあります。その場合はご了承下さい。SDGsの観点からは素晴らしいことではあります。
ともあれ、クレームが少ないことは私たちにとってありがたいことではあります。